マーケティング
ペルソナとは?何をするときに用いられるの?
マーケティング用語のペルソナとは?
ペルソナとは、近年アメリカ企業を中心に取り入れられているマーケティング手法のことです。
どんな人物をターゲットにするのかを明確にするために、架空人物像をかなりの具体的に詳細に設定する手法です。
ペルソナという言葉は、元々は古典劇で役者が被った「仮面」のことで、ユング心理学の「人間の外的側面」を意味する言葉としても使われていました。
顧客像を明確に設定するペルソナという概念は、初めはソフトウエア開発や製品デザインの分野で使われはじめました。
その後、マイクロソフト社のユーザー・リサーチ・マネージャーを務めていたジョン・S.プルーイットが、1999年に「ペルソナ戦略―マーケティング、製品開発、デザインを顧客志向にする」いう書籍を出版し、マーケティング手法としても紹介して注目されるようになったのです。
マーケティングにおけるペルソナの役割
企業では、いろいろな場面で「顧客の視点を大切に」と語られたり、「ユーザーに響く商品を作ろう」がスローガンになったりしています。
しかし、では「顧客やユーザーとは具体的にどんな人なのか?」と問われるとぼんやりとした顧客像しかないことも、多いのです。
そんな顧客理解の問題を解決し、顧客理解を組織的に深めるためのマーケティング手法がペルソナです。お客さんの情報を明確に設定することで、同じ顧客像を組織の誰もが共有することができるようになるのです。
ペルソナがマーケティングで注目されている背景
マーケティングでは、これまででもターゲット層を設定する手法が広く使われてきました。しかし、ターゲットとペルソナは同じではありません。
ターゲットとの違いを、具体的に比較してみましょう。例えばターゲットでは「20代男性、会社員、独身」、「30代女性、主婦、未就学の子供あり」などと設定します。
しかし、ペルソナでは性別、年齢、居住地、学歴、職業、家庭環境、年収などの基本データだけでなく、趣味や嗜好、性格まで詳しく設定してターゲットを絞り込んでいきます。
これは、インターネットの普及により、詳細な顧客の絞り込みが可能になったという背景があります。趣味や嗜好に対しても、絞り込んだアプローチができるようになり、ペルソナが有効なマーケティング手法として利用できるようになったのです。
ペルソナを作成することのメリットとは?
ペルソナ作成をマーケティングに活用するメリットには、組織で統一した顧客像を共有できること、マーケティング精度の向上、時間短縮、コストの削減、などがあります。
あいまいな顧客像では、人により異なるイメージを抱いてしまうため、当初に想定してた人物像からどんどんずれてしまうことがあります。しかし、ペルソナを作成すれば、社内認識を統一することができるのです。
また、ペルソナを作成すると、ペルソナのニーズを把握しやすくなるため、マーケティング精度が向上します。ユーザーが本当に求めるものを製品やサービスに反映できるのです。
さらに、時間短縮やコストの削減も可能になります。顧客像が明確になるため、アイディアの絞り込みや方向性決定がスピーディにできます。それが結果的に、全体のコスト削減にもつながるのです。
ペルソナ作成にはリアリティが必要
ペルソナは設定によって作られる架空の人物ですが、作成者が思い込みや想像で作りあげていい訳ではありません。ペルソナ作成は、リアリティが必要です。
リアルなペルソナを作成するには、顧客アンケート集計結果や既存のデータを参考にするのが有効です。ホームページのアクセス解析で得た顧客データを分析して顧客像をあぶり出していく方法もあります。
また、実際のユーザーや営業担当のスタッフからリサーチを行うことでも、リアルな顧客データを得ることができます。
ユーザーにインタビューを行い、実際の体験談を集める、営業担当へ顧客情報の聞き取りを行うなど、さまざまな角度から顧客情報を集めてみましょう。
ペルソナの設定に必須な要素は何か?
ペルソナ設定ではまず、性別、年齢、住所、職業、年収、貯蓄額、最終学歴、家族構成、子供の有無、などの基礎的な情報を決めます。
そしてさらに、性格、趣味、嗜好、興味や関心があること、休日の過ごし方、所持しているデバイスの種類、などを詳細に決めていきます。
ネット通販ユーザーのペルソナ実例
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個性的なペルソナ
33歳、男性、東京都港区在住。中規模の広告代理店勤務デザイナー、年収は460万円、貯蓄額は10万円、東京のデザイン専門学校を卒業。独身。
ファッションや持ち物はカジュアルなブランド物、常にiPhoneの最新デバイスを使用、休日は自宅で過ごす、自宅は1部屋ながらハイセンスな家具、買い物はショッピングサイト中心、趣味はクレイアニメの動画制作、交友関係は趣味関連のみ。恋人はできるが長続きしないのが悩み。
自分の好きなことを追求するタイプ、気に入ったものにはお金を惜しまない。ネットショッピングでの購入が多いが、気に入ったものを探すのに時間がかかることに不満を持っている。
イベント会社のペルソナ実例
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極端なペルソナ
24歳、女性、福岡在住。事務の派遣社員として勤務、年収は250万円、貯蓄額は5万円、商業高校を卒業。独身。
休日は、地元の友人とグループで行動することが多い。両親の家に同居している。携帯デバイスはLINEやSNSに使用している。
クリスマスやハロウィンなどのイベントが好きで、大阪や東京などの遠方にも、イベント目的で出かける。仮装や派手な服装で町を歩くのが好きだが、着る機会が少ないことが不満。
自転車メーカーのペルソナ実例
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あるあるなペルソナ
28歳、女性、埼玉県在住。企業の経理として勤務、年収は360万円、貯蓄額は80万円、地元の私立大学文学部を卒業。独身。
両親の家に同居しており、同じ会社に気になる男性がいる。携帯デバイスは主にカメラとして使用、趣味はサイクリング。休日は自転車で、遠くまでサイクリングに出かける。スポーツや体を動かすのが好き。
サイクリングの趣味を持つ友人が、少ないのが悩み。サイクリング仲間を増やしたいが、自転車にはママチャリのイメージを持つ人が多いように感じる。おしゃれで機能的な自転車は、高価なものが多く、自転車の買い換えが難しいと思っている。
ペルソナを利用したマーケティング施策の立て方と注意点
ペルソナで、具体的に一人の人物像を作りあげていくと、その人物がどうしてそれを好み、何を不満に思うか、どんな特性があるのかがリアルに理解できます。ペルソナの心に響く商品や不満を解決するサービスを、ピンポイントに開発すればいいのです。
しかし、ペルソナはBtoCのマーケティングの場合には有効ですが、BtoBのマーケティングに使う場合には工夫が必要です。
BtoBでは担当者個人ではなく、社内の複数の人が購入プロセスに関係するため、他の関係者についてもペルソナ設定が必要です。また、企業規模や企業風土、経営方針、決算期といった、企業情報もペルソナ設定に反映することが必要になります。
ペルソナを活用してマーケティングが成功した実例
ペルソナマーケティングを活用して成功した事例のひとつが、カルビーの「ジャガビー」というスナック菓子です。
独身女性は今までの購入データでは、スナック菓子を購入しないターゲット層として、知られていました。そこでカルビーは、広く好まれるお菓子作りではなく、「27歳、独身女性、東京都文京区在住」のペルソナに好かれるお菓子作りに、取り組みました。
ペルソナの部屋に置いても、部屋のイメージを壊さないパッケージデザインを行い、ペルソナの好む雑誌への広告を出稿しました。結果は、大成功でした。
特定のペルソナの好むお菓子を作ることで、ペルソナに近い嗜好をもつ、多くの人から好まれるお菓子を作ることに、成功したのです。
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