マーケティング
STPのS!市場細分化はどんな事を行うの?
Segmentation(市場細分化)とは?
「Segmentation(セグメンテーション)」は分割するという言葉の意味があり、日本のマーケティング用語では「市場細分化」と言います。
その言葉のとおりSegmentation(市場細分化)とは、市場を細分化してマーケティングを行うことです。その背景には、「消費者ニーズの多様化」があります。
以前の市場は、ひとつの製品を大勢の消費者に向けて、大量に販売するマス・マーケティングという手法が主流でした。同じものを大量に販売すると、コストの削減ができるため、安く販売できて、企業の利益も大きいのです。
しかし、現在は市場が成熟して、消費者のニーズや嗜好が多様化しました。そのため、マス・マーケティングは終わりをむかえ、Segmentation(市場細分化)のマーケティングが必要になってきたのです。
Segmentation(市場細分化)を行うメリット
本来ならば、消費者は一人ひとりに好みがあり、ほしい物が異なります。そのニーズをぴったりと満たすものが、消費者が購入を検討したいものです。
背広や靴のオーダーメイドなどは、価格を除いてはそのニーズを満たすものです。しかし、すべての製品をオーダーメイドにするのは、価格が高騰して時間もかかり、現実的ではありません。
顧客のニーズも個人で異なるとはいえ、同じようなニーズを持つ人々は、ある程度人数がいるものです。そこで、Segmentation(市場細分化)を行い、消費者のニーズをグループ分けすることで、グループのニーズを満たそうと考えたのが市場細分化です。
大きいグループであれば市場としての意味を持ちますし、異なるグループでも、同じニーズを持つグループも存在します。
Segmentation(市場細分化)は、企業側にメリットのある市場や商材を、見つけ出すのに大変役に立つ考え方なのです。
Segmentationはどう使うの?
フィリップ・コトラー博士が提唱した、マーケティング戦略を成功に導く考え方のひとつに、「STP戦略」があります。Segmentation(市場細分化)は、この「STP戦略」のSにあたります。
TはTargeting(ターゲティング)で、ターゲットを決定することです。そしてPはPositioning(ポジショニング)で、競争相手に対して優位性を確保することです。
Segmentation(市場細分化)はSTP戦略の前提になるものなので、その後が間違ったものにならないようにする、重要な役割があります。
Segmentationの方法は?
Segmentation(市場細分化)は、「消費者セグメンテーション」、「市場セグメンテーション」、「顧客セグメンテーション」という3種類の方法で、細分化していきます。
「消費者セグメンテーション」は、消費者を細分化するものですが、性別や年齢、居住地、年収などだけで、分類するのでは不十分です。
海のそばに住んでいても、釣りが嫌いな人もいれば、忙しくて釣りができない人もいます。お金持ちでも、高級品を買わないという人もいれば、食費を削っても高級バッグを買いたいと言う人もいます。
「消費者セグメンテーション」は、地理的変数、人口動態変数、心理的変数、行動、など4つのセグメンテーション変数(軸)で考えます。
「市場セグメンテーション」は、市場を細分化して考えることで、「隠れた市場を発見する」ことを目的にしています。主に、商品開発やブランディングの際に使われる手法です。
市場を、シチュエーション、時間、年齢、価値観、人のつながりなどを、軸として考えます。そして、その軸をあえて変えて考えてみたりすると、思ってもいなかった新しい市場を発見できるのです。
例えば以前、掃除は掃除機やぞうきんでするもの、と考えられていました。しかし、花王は掃除の定義を変えてみることで、クイックルワイパーの開発に成功したのです。
「顧客セグメンテーション」は、長期的な視点から常連になってもらえるような、将来性のある顧客を見つけるための、セグメンテーションです。顧客の購入時期や回数、購入額などを分析することで、顧客を分類します。
たまたま購入してくれた顧客なのか、常連だったけれど最近は他社に奪われた顧客なのか、何年もコンスタントに購入してくれる顧客なのか、などに分類して顧客対応をするなどです。
Segmentationの注意点
「Segmentation(セグメンテーション)」によく混同されるマーケティング用語に、Targeting(ターゲティング)があります。この2つは、同じもののように考えられがちですが、分けて考えなければSTP戦略をうまく進めることができません。
「Segmentation(セグメンテーション)」は、あくまでも分けることが目的です。そしてTargeting(ターゲティング)は、ターゲットを選ぶことが目的です。
混同してワンステップにしてしまうのではなく、それぞれの違いを理解して、段階をふんで進めることが大切です。
Segmentationでマーケティングに成功した実例
マーケティングに「Segmentation(セグメンテーション)」を取り入れて成功した企業には、パナソニックやホンダがあります。
パナソニックは、「レッツノート」というパソコンの開発に、「Segmentation(セグメンテーション)」を取り入れ大成功しました。「レッツノート」はターゲットを法人の外回り営業に絞り、軽くて長時間稼動するというニーズに、ぴったり合う商品を開発したのです。
法人向けという大きなターゲットではなく、法人向けの外回り営業にまで細分化することで、必要なニーズをはっきりさせることができたのです。持ち運ぶのに軽くて、夜まで充電できなくても稼動する「レッツノート」は、外回りのビジネスマンに圧倒的な人気を得ています。
ホンダは、アメリカ市場にバイクを販売するため、「Segmentation(セグメンテーション)」を取り入れて、「スーパーカブ」を売り出し大成功しました。
以前アメリカでは、一般的な市民が乗れる気軽なバイクはありませんでした。バイクと言えば、大型のハーレーダビットソンだったのです。
そこでホンダは、それまでバイクに乗ったことがない一般的な市民が、日常生活で足として使えるような「スーパーカブ」を売り出し大成功したのです。
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